危険な提案−1−

*堂郁(恋人期間)

下ネタでしょうか?ラブホの話です。
途中でR指定入ります。

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「ていうか笠原、あんたお泊りは毎回シティホテルなわけ?」
郁と柴崎を含む同期数人で部屋飲みの最中、その内の一人から投げ掛けられた一言に郁は赤くなって俯いた。

女同士の飲み会のネタと言えば恋愛はかかせないが、酒が進むとともに大概下ネタの方へと話も進む。
自他共に認める恋愛事に疎い郁は、今まではもっぱら聞き役だったものの、上官かつ憧れの王子様である堂上と付き合い出し、それがあっと言う間に基地内に広まってからはいい酒の肴とばかりに根掘り葉掘り聞かれるのだ。

「……うん、毎回予約してくれてるし、出費とか大変じゃないかなーとは思うんだけど、いつも気にするなの一点張りで……」

しどろもどろになりながら郁が答えると、いいなぁーだの、愛されてるーだのと野次が飛び、それにウチの彼氏はビンボーだしーだの、ウチも毎回ラブホだよーだのと愚痴が混じる。
その流れでどこはキレイ、どこは安いとホテル談義が始まり、一人が発した他愛ない疑問で郁が絶叫し、隣三部屋から苦情が来る事となった。

「でもシティホテルって壁薄いから声気にならない?」
「ええぇぇぇっっっそうなのぉぉっ!!!」


叫び声で起こされ怒鳴り込んできた者に散々謝り倒した後、やや小声で話は再開された。

「そんなに聞こえるものなの!?」
「てかあんた今まで気にした事ないの?」
「だっていつもいっぱいいっぱいでそんな余裕ないし…」

あぁー笠原だしねー、とある意味失礼なくらい全員に納得され、話し声とかも結構聞こえるよね、隣が家族連れだとやる気なくなるよー、などと聞かされたら今までの堂上との情事が全てつつぬけだったような気がして顔から火が出そうになる。

「でも…その、ラブホってそんなに聞こえないの?」
「全く聞こえない訳じゃないけどそこまでは気にならないよー」
「それに周りはみんなカップルだし、目的は同じな訳だからお互い様って思えるし」

そうそうと他のみんなにも頷かれると確かにその通りな気がしてきた。

今までラブホってするために行きます!って言ってるみたいで恥ずかしかったけど実は逆なんじゃ…

家族連れやビジネスマンなど皆健全な目的で泊まっている中で自分達だけが淫らな行為をしている図が浮かび、一人沈んでいる郁を見兼ねてか、柴崎が助け舟を出す。

「ちょっとー、そんな事言って笠原がお泊りできなくなったら堂上教官に殺されるわよー」
「じゃあ一回ラブホに泊まって見ればいいじゃん」
「でも女の方からラブホに泊まろうなんて…」

そんな事言えるかっと俯く郁に全員が黙り、次の瞬間柴崎以外が一斉に吹き出した。

「出た!純情乙女発言!」
「さすが笠原!」
「毎回毎回破壊力凄すぎーー」

笑い転げる同期とむくれる郁を見渡し、一人冷静な柴崎が口を開いた。

「まーったく相変わらず高校生並なんだからー。今時のラブホってあんたが想像してるみたいにギラギラしてないわよ、シンプルでキレイなトコだっていっぱいあるんだから」

その台詞で正気を取り戻した部屋の主が、あっそうだーなどと言いつつ一冊の雑誌を持ってきた。
コンビニでもよく見る隔週刊の情報誌だが郁も柴崎も買わないのでじっくり読むことはない。

「これにラブホ特集載ってたから見てみな」
そう言って広げられた雑誌を郁は恐る恐る覗き込んだが…

「……普通じゃん」

至って普通、むしろバリリゾート風、南仏プチホテル風などとコンセプトが付いているらしく、シンプルなシティホテルよりもオシャレでかわいらしい。
天蓋付きベッドなどそれらしい部屋もあるが、それも郁が想像していたようなゴテゴテギラギラした装飾ではなく、女の子にウケそうな可愛い内装だ。

ページの隅の方にSMルーム、体育館ルームなどといった怪しげなものもあるにはあったがそれは見なかった事にして、郁はキレイ目の部屋を熱心に見つめ、周りの同期はそれを半ば呆れ半ばニヤニヤと見ていた。

「それもう古い号だからあんたにあげるわ、部屋帰って好きなだけ見たらー?」

その言葉で郁は我に返り、全体もなんとなくお開きモードになってその日の飲み会は終了となった。

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続きます