危険な提案−3−

*堂郁(恋人期間)

危険な提案−2−の続きです。

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そして公休前日、郁は書きなぐる様に日報を終わらせ、ダッシュで部屋へ戻り支度を済ませ、待ち合わせ場所へと急ぐ。

自分の方が早く職場を出たのに待ち合わせには先に堂上が待っているのはいつもの事で、急がんでもいいと言われてもやっぱり気にしてしまう。

いくつか駅を移動し、小洒落たダイニングレストランで食事を取りデザートまでしっかり堪能する。

「そろそろ行くか」
サービスのお茶をすすりながら、はーおいしかったぁとお腹をさすっていた時に、さりげなく投げられたその言葉にドキンと心臓が跳ねる。

もう幾度となく堂上との外泊は経験しているというのに未だに慣れない。
むしろ回数が増えた分、記憶に残る様々な堂上の囁き声や甘い顔が脳裏を駆け巡り一気に頬が紅潮する。

しかも、今日はいつものシティホテルではなく、初のラブホテル。同期から貰った雑誌をそのコーナーだけ何度も読み込んだから一通りの知識はあると思う。
だが、肝心のホテルのチョイスは堂上に任せた為、どういう所へ向かうのは分からない。

――まさかSMルームとかは選ばないよなね。

小さな写真だったが、それでも真っ赤な照明で檻やら手錠やらその他何に使うのか郁の経験値ではさっぱり検討も付かないものが見てとれた。
もしそんな部屋に連れて行かれたら間違いなく一睡もできない。

堂上がその手の趣味があるとは思われなかったが、その写真の印象は強烈で、どうしても頭から拭い去る事ができなかった。

「どうした、やっぱり不安なら今からでも空いてるトコ探すぞ」
「いえっ大丈夫です」

堂上に気を使わせないようカバンを手に勢いよく立ち上がると、何だ随分やる気だなとにやりとされ、慌てて否定する。

「や、やる気になんてなってませんっ」
「じゃあ嫌なのか」
「えっ、嫌…じゃないです…」

本気で聞いているのではなく遊ばれているだけだと分かっていても、上手く捌けなくて答えに詰まる。

抗議の意を込めて拗ねた顔で睨むと堂上は「悪い、からかいすぎた」と少し申し訳なさそうな顔をして郁の手を握り、じゃあ行くぞ、と伝票を手に取った。

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続きます
次回からはR15指定になります。該当年齢の方は閲覧をお控え下さい。