勝つのは誰だ!?

*堂上班+タスクフォースの皆さん(別冊1頃)

バレンタイン小話です。



世の男にとって一世一代のイベント、かどうかは知らないが、ともかくバレンタインを間近に控えたある日の昼休み、特殊部隊事務室では隊員達が寄り集まって何やら話し込んでいた。

そこへ昼飯を終えた小牧と手塚が戻ってきた。
堂上と郁のバディは警備がずれ込んだのか、まだのようである。

「おう、お前らもやるだろ?」

隊員の一人が気付いて声をかける。

「今年もですか?毎年よくやりますねぇ」

小牧が苦笑しながら輪に加わる。
手塚は気乗りはしないものの、断りもできないといった雰囲気だ。

「当たり前だろ!今年はお前らには負けねえからな」

先輩達が対抗心丸出しで息巻いているのはバレンタインに貰うチョコの数を競う毎年恒例の賭けだ。
毎年性懲りもなく繰り返され、堂上班も強制的に付き合わされている。

と、小牧がひとつの提案を持ち出した。

「今年は班員の合計数にしませんか?」

「ふざけんな、お前ら優男の集まりの堂上班とじゃ――」
「おい、ちょっと待て」

即刻却下しようとした隊員を他の隊員が止めた。

「取り消しはきかんぞ、小牧」
「えぇ、構いませんよ。たまには趣向を変えるのもいいでしょう?」

「そうだな……よし決まりだ、今年は班対抗でいくぞ」

意味ありげに断言したその隊員の気迫に押され、他のものも同意して班対抗戦は採用されることとなった。
小牧と手塚が自席に引き上げた後、決定を下した隊員が取り囲まれる。

「お前、何であんなこと言ったんだよ」
「そうだぞ、堂上班固めたら勝ち目ないじゃねえか」

責め立てる隊員達に当の本人は訳知り顔で講釈をする。

「何言ってんだ、いいか。笠原は数に入らないし、小牧も堂上も今年は彼女持ちだ。すなわち今年は実質戦力は手塚一人なんだよ」
「……成程そうか、それなら俺らにもまだ勝機が」
「一人相手にってのが些か情けないがな」

「いいんだよ、今年はどんな手を使ってもヤツラに勝つ!」



そして悲喜こもごも盛り込んだバレンタイン当日が終わりを告げ、翌日の昼休みに早速集計に奔走する隊員の姿があった。

堂上班のところへ聞きに来た隊員は例年と違い、どこか余裕が見える。

「小牧、お前今年はどうだった?」
「俺は彼女からしか貰ってません」

「ほう小牧一個、と。堂上、お前は?」
「俺も一つですが」

「よし!次……手塚」
「俺は全部断りました」

「そうか……断ったってのが癪に触るがゼロはゼロだ、今年は行けるぞ!!」

意気揚々と引き上げようとした隊員を小牧の一言が引き止めた。

「ところで笠原さんはいくつだった?」
「え、今年は……にじゅうー……はち、かな」

先程まで笑顔だった隊員の顔がみるみる凍り付く。
そんな隊員をよそに、小牧は微笑みを崩さずに続ける。

「へぇー流石笠原さん、予想以上だね」
「お前、去年より増えてないか?」

呆れる手塚の隣、堂上は何も言わないが、女同士と言えど彼女がそれだけのチョコを貰うのは複雑な気分らしい、苦虫を噛み潰した顔で立っている。

「待て、笠原は除外だろ!」
「班対抗なんだから入れるのが当然じゃないですか?」

「あ、あれだろ?友達同士で送り合うってやつ。そうだろ、なっ?」
「いえ、友チョコは抜いてるんでー、それ入れたらもっと――」

「言うなーー、止めてくれー!!」

今年の勝負は隊員達の悲痛な叫びによって堂上班のコールド勝ち、となった。



こうしてめでたく勝利をおさめ報奨金をせしめた面々は、早速次の公休前日に基地近くの居酒屋で祝杯を上げていた。

小牧が「一番の功労者に乾杯」と言って笠原とグラスを合わせた。

「いやー、それにしても例年通り個人戦にしとけば、タスクフォースで一番モテるのが笠原さんだってこと、先輩方も知らずに済んだのにねぇ」
「え、そんなことは……モテるっていっても女の子ですし。でも何で今年は班対抗になったんでしょうね?」
「さぁ?何でだろうねぇ」

さらりととぼける小牧に全部あんたが仕組んだんだろう!などと手塚には言えるはずもなく、もう一つの疑念の元である目の前の人物に矛先を変えることにした。

「それより柴崎、何でお前いるんだ」
「えーだって小牧教官に情報提供したのあたしだしぃ」

「……そういうことか」とがっくり頭を垂れたのは堂上だ。
当の本人の郁だけが「え、何が?」と話題に付いていけてない。

「ま、たまには先輩方にも少しは懲りてもらわないとね」
「そういうことですよねー」

にこやかに語る小牧と柴崎の二人にかかれば、タスクフォースなど丸ごと赤子の手を捻るようなものだろう。

決して敵に回すまいと固く心に刻み、手元のジョッキを一気に空にした手塚だった。



終わりです。

バレンタインものを早めにアップしたので当日ないのも寂しいかなーと思って書いた小ネタです。