ファイターパイロット、帰還

*高巳×光稀

ファイターパイロットの君の初デート後の光稀さんの話です。

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「あれ武田、あんた何でこんなとこにいるの?」

寮に戻って玄関でブーツを脱ぎ散らかしていると、後ろから同期の声が降ってきた。

「自分の所属する基地の女子寮にいて何が悪い」
「いやそういうことじゃなくて」

あんた今日春名君とデートだったんでしょうがと指を突きつけられた胸元には高巳にプレゼントされたネックレスが光っている。

声を聞きつけてか、通りがかった同期達がわらわらと集まってきた。今日の光稀の服装を散々面白りつつコーディネートしてくれた面々である。

「あれー武田じゃない」
「何で帰ってきたのよ?」

同様の事を口々に言われ光稀はうるさいと一蹴する。しかし、光稀が怒鳴ったところで身も心も鍛え上げた猛者達が怯むはずもなく。

「まさか直前でビビって投げ飛ばしたとか!?」
「うわ、ちょっと怪我はさせてないでしょうね」

「そんな事してないっ、だいたいいきなり外泊なんかするかっ」

明らかに光稀が何かをしでかした前提で話を進める同期に光稀が怒鳴り返すと、一同は「なーんだ」と安心したような、面白くないような顔をした。

「春名君って見た目に寄らずカタイんだぁ」
「それは武田に合わせてんじゃないの?」

――こいつらの高巳の評価はどうなってるんだ。

確かにちゃらちゃらしたところはあるが男女の交際において軽いというわけではない。ほとんど経験のない光稀でも今日のデートコースが光稀が喜ぶことを第一に組み立てられたことくらいはわかる。



「やだー、ドッグタグ外してんじゃない、それ、買って貰ったんでしょ?」

同期の一人が出かける前とは打って変わって華やかになった光稀の胸元を目ざとく指摘する。

「あたしたちがいくら言っても外さなかったくせにさー」

そうだ、出ていく前にも散々外せと言われたのを押し切って行ったのだった。

「俺とのデートで身元が判明できないようなどんな大惨事に陥る気だと言われたからな」

「さっすが春名君」
「やっぱ口上手いわよね」

合点が行ったように頷く面々にやっぱりわけのわからない評価を下されている。
待ち合わせ直後に勘違いで帰りかけたやりとりを苦々しく思い出しながら光稀は仏頂面で受け流していた。

一通り光稀の周りで騒いだところで、一巡してまた外泊せずに帰ってきた事に話が戻った。

「だいたい外泊届けだって出してなかったしな」

「そんなのこっちでどうにかしてやるわよー」
「そうよ、武田の一世一代のチャンスだったのに」

何だ一世一代って。人を恋愛に全く縁がないみたいに言いやがって。
反駁すると違いないじゃないと即座に却下された。

「デートまで持ち込んだんだから身体でガッチリつかまえとかないと」
「そうよ、武田見てくれは悪くないんだからさあ」
「小綺麗なカッコして黙って笑ってりゃいくらでも引っ掛けられるのに、そういうのもしないしねぇ」
「地のまんまのあんたに惚れてくれるような男、この先出ないわよ絶対」
「しかもあんななかなか好物件で」

至近距離で矢継ぎ早に繰り出される話に圧倒されながら光稀が何とか話を総括すると、ようするに「とっととやってしまえ!」ということらしい。

「お前らにそんな事決められてたまるか!!」

女子寮を揺るがした光稀の怒号により、しばらくお預けを食わされる高巳の運命は決定したのだった。

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終わりです。

女性隊員はあまり出てこなかったですが、きっと高巳は色々チェックされてるだろう、と。