野戦のココロエ−その1−

*特殊部隊。完全捏造イベントですが、時期は危機くらいです。
ラブ要素は中盤にちょっとだけで殆ど無し。狩猟関連の記述があります。

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いつもの朝礼が終了した後、堂上は玄田に向かっていつも以上の大声を張り上げていた。

「全隊を導入した野戦が必要な戦闘が後にも先にもありますかっ、だいたい上の許可が降りるわけないでしょうが!」

発端は先程の朝礼で発表された野外訓練だ。山奥での実戦を想定して全隊での訓練と聞き、奥多摩の熊ドッキリには反対することを諦めた堂上もさすがに今回は食い下がった。しかし玄田は堂上の反駁などものともせず、上がった口角をさらにつりあげる。

「おぉそうだ、堂上、ならお前が通りそうな理由を見繕って申請しといてくれ」

じゃあ任せたと肩を叩いて去っていった玄田の後に残された堂上はがっくりと肩を落とした。
玄田の暴走を止めさせるどころか、その許可を取る為のこじつけを押し付けられるとはミイラ取りがミイラもいいとこ、下手すればそれ以下である。

「逆らうだけムダだっていい加減学習すれば」
「喧しい」

全く援護する気のない小牧に一瞥をくれて席に戻るなり頭をかかえる。

「野戦かぁー、良化隊が図書を奪って山奥に立て篭もったとか」
「お前交戦権の規定を忘れたのか。例え向こうが仕掛けてきたとしても、図書隊まで銃火器持ち出して大規模戦闘繰り広げるのは無理があるだろ」

「じゃあ山奥の図書館が襲撃されたとか」
「バカ、そんな山奥に図書館建てて誰が利用するんだ、熊か、鹿かっ?」

後ろの席で賑やかしく戦闘理由を検討し始める部下達に突っ込む気にもならず、堂上はこじつけの申請書は後回しにして溜まった書類に手を延ばした。





――かくして当日。

『図書輸送中のヘリが山間部にて良化隊より襲撃を受け被弾及び墜落、図書と隊員を盾に立て篭もり良化委員会の提示する全図書の廃棄を要求、当要求は到底受け入れ難い為付近の住宅等のないことを確認の上路上にて襲撃を受けた際の交戦規定を当該山中にまで延長し、人質及び図書の奪還を目的として特殊部隊を総動員した戦闘を想定した野外特別訓練』

無理矢理捻り出した申請理由は呆気なく通り、もともと話はついていたんじゃないかと訝しがったところで本当の事が判明するはずもなく、渋面を引っ提げた班長を先頭に堂上班及び特殊部隊は訓練場所となったとある山中に整列していた。

あらかじめ地図と予定表は配布されていたが肝心の訓練内容は全く記されていなかったことが更に堂上の不安を煽る。
玄田を問い詰めても「その場の状況でフレキシブルに対応するのが実戦の醍醐味だ!」と意味不明の理屈で返され、何かを企んでいることは明らかだ。

目の前では副隊長の緒形が訓練エリアの確認や補足事項、注意点などを説明しているがここでも内容の説明はない。

「よし、各自確認は済んだな」

緒形の言葉が途切れるやいなや、玄田は立ち上がり、それでは本日の訓練内容を発表すると声高らかに吠えた。

「これより班対抗料理大会を開催を宣言する!」

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続きます。→−2−
全5、6回くらいの予定でまったりと更新します。