月が綺麗ですね〜おまけ〜

*郁+柴、「月が綺麗ですね」のおまけ、ほとんど会話文です。



「ただいまぁ」
「おかえり、門限ギリギリじゃない」

公休日ではなかった柴崎はデート帰りの郁を部屋で出迎えた。堂上の采配だろう、いつもは門限より少し余裕を持って帰ってくるところが今日はギリギリである。

「うんちょっとコンビニに寄ってて」
「新作チョコなんかいいのあった?」
「あーごめん、生菓子コーナーしか見てないや、団子買いに行ったから」

郁の台詞でそういえばそろそろ中秋の名月のはずだと柴崎も思い当たる。

「団子?月見でもしてたの」
「うん、コンビニ調達で即席だったけど」

何気なく答えた郁にふうん、と柴崎の返答は意味ありげだった。

「『月が綺麗ですねー』なんて言っちゃったり?」
「え、なんでわかるの?」

何の変哲も無い感想ではあるが、言い回しまでピタリと当てられた事に郁は驚いたがなぜか柴崎も驚いた顔をした。

「あんたまさかこの台詞そのまま言ったの?」
「そうだけど」
「それって意味……いや知ってるわけ無いわよね」
「何よ、気になるじゃん」

一人話を進める柴崎の意図する所が郁にはさっぱり分からない。
――『月が綺麗ですね』ってそんなに変な言葉か!?

「いやそれより堂上教官の反応が気になるわ、ソレ聞いてなんて返してきたの」
「あたしはその台詞が何なのかの方が気になるんだけど」
「それは後で教えてあげるから」

郁の戸惑いなど全く意に介さないらしい。さあ言えとばかりに詰め寄る柴崎に仕方なく郁はそのときの堂上の様子を伝えた。

「普通に『そうだな』って」
「それだけ?」
「そう、で団子が食いたくなったってコンビニに」

散々郁を急きたてた先程の態度はどこへやら、柴崎の反応は「ふーん、まああの人ならそんなもんよね」とごく薄いものだった。

「で、結局何なの?」

問い質しても情報を聞くだけ聞いてすでにこの話題に興味を失ったらしく、「ネットで調べりゃすぐ出てくるわよ」ともはや丸投げもいいとこである。

仕方無しに郁は携帯を開き、検索エンジンを立ち上げ例の文章を打ち込んだ。
数秒後に女子寮中に郁の悲鳴が響き渡ることとなる。



終わりです。